日本学術会議学術フォーラム/第16回防災学術連携シンポジウム

関東大震災100年と防災減災科学

令和5年07月08日(土)開催
当日のシンポジウム終了後に質問用紙にて寄せられました質問に対して回答させて頂きます。
Q:全人口には朝鮮人、中国人は含まれているのでしょうか?排除したのだとするとどのようにしたのでしょうか?
A:手元の断片的な資料に基づく推察というかたちの回答で恐縮です。この度とり上げた「震災調査」(1923)は、その報告書(『震災調査報告』)に「第一回国勢調査」(1920)の実施体制に沿って行われたと記されていることから、その規程に沿って把握されていたと推察されます(私、回答者の推察です)。同時期、『日本の労働市場へ外国人が労働者として参入することについては,明治32(1899)年の勅令第352号「条約若ハ慣行二依リ居住ノ自由ヲ有セサノレ外国人ノ居住及営業等一関スノレ件」でもって、原則的には禁止されていた…。しかし明治43年(1910)8月22日の「韓国併合」を機として,朝鮮人には不適用となったことから、植民地朝鮮から朝鮮人労働者の内地労働市場への参入がはじまる。(同、p.3) そして、こうした内地渡航の朝鮮人は,「一視同仁」の名に反してつねに必らず「要視察人」として警察の監視下におかれていたのである。すなわち箏明治44年(1911)8月18日付内務省警保局長の府県知事に宛た内訓第71号「朝鮮人名簿調製ノ件」では,内地在住の朝鮮人全員を治安対策の対象とすることにして「滞留若ハ居住ノ朝鮮人二対シテハ享始終其ノ言動ヲ視察シヲ殊二排日思想抱持ノ有無一注意スヘシ」「滞留若ハ居住ノ朝鮮人ニシテ他二移転シタルトキハ,其行先地及視察参考トナルヘキ事項ヲ即報スヘシ」と指示していた。このように治安対策の対象として朝鮮人をみる日本政府の姿勢は,その後も一貫して継続され。内地在住の朝鮮人労働者をめくる問題で重要な特徴をつくっていった。(内藤正中1989「戦前期日本海地域の朝鮮人労働者」『経済科学論集』15より抜粋)』このような状況において、第一回国勢調査以降、内地の朝鮮人については、その人数の推移が把握されていた(同、p.5、表1-3、表1-4)ことを勘案して、第一回国勢調査の体制・手法に倣って実施された「震災調査」でも内地の朝鮮人については、同様に把握されていたのではないかと(回答者・私は)推察します。ご質問にあった中国人については、申し訳ございません、私の手元の資料からは分かりません。
『震災調査報告書』には、「今回の調査は殖民地又は外国に避難した者に及ばない」(同報告書p.41)と記されていることから、被災して避難等のため(一時)帰国した(朝鮮半島の地元に戻った)朝鮮人については、把握されていないのではないかと推察します。(大矢根淳)

Q:阪神淡路大震災で、家が全壊しました。
周りの状況を見て、何が起こったかと思いました。 ラジオから大阪や京都の被災状況が入っていきましたが、神戸についてはまだ入っておらず、目の前の惨状と入ってくる情報の違いに混乱した覚えがあります。
現在、世帯数が553世帯の大型マンションに住んでいるので、様々な活動を通し、「してもらうことを心配する」よりも、「他人の為に何ができるか」を考え、日ごろの行動に落とし込むことをお願いしたり、小さなお子さんの為に、防災を意識せず、防災訓練のいったんになるようなイベントを考えて開催したりしています。 また、府中市市長ともコネクトすることで、役所への提案、役所で出来る事、自治会でやっていくべきことをマンション内の防災委員会でまとめたりしています。
しかし、昨今の経済状況により、時間的、金銭的にも謀殺さているご家庭が少なくなく、なかなか難しいことも多くなってきたなという肌感があります。 この度の各セッションを通して、様々な技術開発をうまく取り込むことによって、人的な時間や労力を最小限にできる可能性を感じることができました。 具体的には、例えば、許可のいらない小さなドローンなど、できれば東京都など自治体がサポートし、大型マンションなどで、使える人を教育、自治会での購入補助などをすることで、若い方でも地域の防災活動に参画していただくことが可能になるのでは?などが考えられないか?というようなことを提案できないかなと思いました。

A:ご質問有難う御座います。将来的には,おっしゃるようなシステムは極めて有効かと思います。現時点でも,設定した震度を超えた揺れを感知した場合,あらかじめ定めたルートをドローンが自動飛行して被害状況の有無を撮影する,ということまでは可能となっております。 実際に運用するための現状の主な課題としましては,
1)ビルの近くを自動で飛行することの許可(法規制と安全性の問題)
2)植栽などとの衝突の回避(安全性の問題)
3)映像から被害状況を判断する技術開発(技術者が見るのか,AI技術などを使うか)
等があります。 これらについても,現在検討が進められていますので,近い将来,ご提案の方法が可能になると期待しております。(楠浩一)