市民へのメッセージ「2024年夏秋の気象災害に備えましょう」(一般社団法人 防災学術連携体 幹事会)(2024/06/04)
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1 地球環境の変化により、豪雨・猛暑などの異常気象が増えています
・地球温暖化の進行に伴い、日本をはじめ世界各地で異常気象が起こりやすくなっています。日本では豪雨・台風などにより、さらに猛暑によっても、人々の生命や社会経済活動に深刻な影響が及んでいます。
・積乱雲によって狭い範囲に短時間で強い雨が降る「局地的大雨」、積乱雲が同じ場所で次々と発生し激しい雨が数時間にわたり降り続く「線状降水帯」、さらには前線の停滞などの影響で数日にわたって大雨が続くなど、その頻度や雨量が増加傾向にあり、気象災害リスクが高まっています。
・近年は春から初夏の早い時期から最高気温が30℃以上の真夏日が現れ、盛夏期には最高気温35℃以上の猛暑日が観測されることも多く、熱中症などのリスクも年々高まっている状況です。本年からは過去に例のない広域的な危険な暑さを想定した
「
熱中症特別警戒アラート」の発表も始まりました。
・気象庁の今夏の天候の見通しによれば、暖かい空気に覆われやすいため、全国的に気温が高く、特に7月は沖縄・奄美と西・東日本で、8月は全国的に高温傾向となりやすいようです。熱中症への備えが必要です。また、この夏の降水量は西日本と沖縄・奄美で平年並か平年より多くなりやすく、6月は沖縄・奄美と西日本で、7月前半は東日本太平洋側と西日本で、前線や湿った空気の影響を受けやすい状況とされています。例年梅雨後半は大雨が降りやすい時期です。豪雨災害にしっかり備えましょう。さらに、夏から秋にかけて台風への備えも欠かせません。
2 熱中症を予防しましょう
・体が暑さに慣れるまでに数週間程度かかる(暑熱順化)ため、本格的な夏になる前の梅雨の期間から暑さに備え、熱中症予防に取り組む必要があります。
・室内温度に気をつけましょう。エアコンは節電中でもためらわずに使いましょう。
・こまめな水分摂取を行いましょう。脱水症を防ぐためには、塩分を含む経口補水液の摂取が有効です。
・熱中症の初期症状として頭痛やめまいが起こることがあります。熱中症かな、と思ったら積極的に直射日光を避けた冷所にて休息をとり、水分をとりましょう。
・体温調節機能の低下している高齢者や、高血圧症、糖尿病、脳卒中後遺症などの持病がある人、認知症の人、一人暮らしの人、乳幼児などの「熱中症弱者」を守る行動をとりましょう。また持病を持っている方は、かかりつけ医に相談し、体調を整えておくことも重要です。乳幼児は生理的に脱水症になりやすいことや、自ら水分を取りにくいため、特に注意が必要です。絶対に暑い車内や室内に置き去りにしてはなりません。
・危険な暑さが予想されるような場合は不要不急の外出を控えましょう。気象庁と環境省が公表する「
暑さ指数(WBGT)」や「
熱中症警戒アラート」、「
熱中症特別警戒アラート」を報道やインターネットなどでチェックしましょう。
3 豪雨・台風に伴う風水害・土砂災害に備えましょう
・豪雨や台風では、風水害、土砂災害の発生リスクが急に高まります。
・
あなたのまちのハザードマップを参考にして、お住まいの場所などで、河川が氾濫した場合に何mくらい浸水してしまうのか、土砂災害が起こりやすい場所ではないかなどを自ら確認してください。また、局地的大雨、線状降水帯による豪雨では、短時間に地下街、地下室、道路のアンダーパス、下水道管、排水溝、用水路などに、激しい勢いで水が流れ込み、危険になることがありますので注意が必要です。浸水の恐れのある場所にお住まいの方は、浸水時の被害を抑えるために、室内にある電気器具や大切なものを高い場所に移動するなどの準備をしておきましょう。
・家族と安全な避難や連絡の方法について日頃から相談しておきましょう。避難経路の周辺にある水路やマンホールの位置など、避難時に支障が生じるところがないか、事前によく確認しておくことも重要です。
・豪雨や台風の到来は事前にある程度予想でき、雨雲の状況や土砂災害・浸水・洪水の危険度(
キキクル)など時々刻々の状況も公開されています。テレビ・ラジオ・気象庁のホームページなどで、最新の情報の収集に努めてください。市町村から警戒レベル3の高齢者等避難や警戒レベル4の避難指示が出されたら、速やかに避難場所に移動するなど、身の安全を確保してください。また、夜間は周辺の状況が確認しづらくなるので、台風の接近や豪雨が予想される場合は、明るいうちに早めの避難も検討しましょう。
・あなたのまわりに、自力で避難することが難しい方がおられたら、避難行動を支援するなど、近所の方々とお互いに助け合うことを日頃から確認しておくこと、地域・地区の防災訓練などへの参加も大切です。
4 あなたには災害の危険性を知り、自分と家族を守る責任があります
・日本中いたる所で豪雨や台風による災害が発生しています。あなたのまちも例外ではありません。熱中症の発生に至る猛暑も全国各地で発生し、昼夜を問わず、対策が必要になっています。豪雨・台風による災害と猛暑が重なると熱中症を引き起こすリスクも高まります。
・地震があった地域では、雨による土砂災害の危険性も高くなることがあります。さらに避難所などでは、猛暑などの気象の影響により体調を崩すリスクが高まることにもなります。豪雨・台風、猛暑、地震などによる複合災害には、備蓄を含めて、それぞれの災害への備えが必要です。
・広域の同時多発災害の場合は、救助や支援の手が届くのが遅れる場合があることを踏まえた備えと対応が必要です。
・豪雨や猛暑などの顕著な天候がいつでも発生しうることを知り、日頃から気象情報に注意を払うとともに、地域のコミュニティや自主防災組織などで、互いに助け合うことを改めて確認しましょう。
・自分たちの安全は自分たちで守ること、そのために備えをすることが第一の基本です。
[一般社団法人 防災学術連携体 幹事会]
代表幹事:森本章倫、米田雅子
副代表幹事:渦岡良介、目黒公郎
幹事:大友康裕、小松利光、酒井明子、高橋幸弘、田村和夫、中村尚、永野正行、橋田俊彦、平田 直、松島信一、松野文俊、三輪準二、山本佳世子、吉田俊子、和田章
協力:横堀將司(日本救急医学会)
[防災学術連携体とは]
防災減災・災害復興に関わる62学協会のネットワークです。
防災に関わる多分野の学会が、日本学術会議を要として集まり、学会の連携を進め、緊急事態時に学会間の緊密な連絡がとれるよう備えています。
[一般社団法人 防災学術連携体 事務局]
〒113-0023 東京都文京区向丘1-5-4 ワイヒルズ2階
TEL:03-3830-0188 FAX:03-5876-8463
中川寛子 office@janet-dr.com 、小野口弘美 info@janet-dr.com
[参考情報]
気象庁 ホームページより
向こう3か月の天候の見通し 全国 (06月~08月)、予想される海洋と大気の特徴
・地球温暖化や春までのエルニーニョ現象の影響等により、全球で大気全体の温度がかなり高いでしょう。
・インド熱帯域では西部を中心に海面水温が高く、積乱雲の発生が多い一方、フィリピンの東方海上では少ないでしょう。
・この影響により、日本の南で太平洋高気圧が強く、日本付近には太平洋高気圧の縁を回って暖かく湿った空気が流れ込みやすいでしょう。
・これらのことから、日本付近は、暖かい空気に覆われやすいでしょう。また、西日本と沖縄・奄美を中心に、前線や湿った空気の影響を受けやすいでしょう。
【記事】
熱中症や豪雨の深刻被害に早めの警戒と対策を 今夏の猛暑予測で防災関連62学会が緊急呼びかけ (サイエンスポータル、2024.06.14)
熱中症や豪雨の深刻被害に早めの警戒と対策を 今夏の猛暑予測で防災関連62学会が緊急呼びかけ(yahooニュース、2024.06.14)