市民へのメッセージ「2025年夏秋の気象災害に備えましょう」(一般社団法人防災学術連携体幹事会)(2025/6/25)
日時:2025年6月25日(水)13時〜14時15分
主催:一般社団法人 防災学術連携体 幹事会
視聴:youtubeライブ配信(アーカイブあり)
ご案内PDF、
市民へのメッセージ2025全文PDF
防災学術連携体幹事会は、地球環境の変化により顕著な天候が現れやすくなっているため、今後、夏から秋にかけての気象災害への備えを呼びかけるために、市民向けメッセージを発表し、4名の専門家が今年の状況を解説します。 是非、ご視聴ください。
※報道関係者の方は、ZOOMに接続し、質疑にご参加いただけます。ご案内PDFをご確認の上、事務局中川までご連絡ください。
【説明者】 防災学術連携体
中村 尚 東京大学教授、防災学術連携体幹事 (日本気象学会) 資料
池内幸司 河川情報センター理事長,防災学術連携体副代表幹事(土木学会会長) 資料
横堀将司 日本医科大学教授、高度救命救急センター長(日本救急医学会)
米田雅子 宇都宮大学理事、防災学術連携体代表幹事 資料
Youtube:
https://youtu.be/CVd7wPh9dt0★概要欄にタイムスタンプあり
1)地球環境の変化により、豪雨・猛暑などの異常気象が増えています
・地球温暖化の進行に伴い、日本をはじめ世界各地で異常気象が起こりやすくなっています。日本では豪雨・台風などにより、さらに猛暑によっても、人々の生命や社会経済活動に深刻な影響が及んでいます。また、近年は日本近海の「海洋熱波」が記録的猛暑や豪雨、台風に与える影響も指摘されており、日本周辺の海面水温の状況にも注意が必要です。
・積乱雲によって狭い範囲に短時間で強い雨が降る「局地的大雨」、積乱雲が同じ場所で次々と発生し激しい雨が数時間にわたり降り続く「線状降水帯」、さらには前線の停滞などの影響で数日にわたって広域で大雨が続くなど、その発生頻度や雨量が増加傾向にあり、気象災害リスクが高まっています。
・本年も含め、近年は春から初夏にかけての早い時期から最高気温が30℃以上の真夏日が現れ、盛夏期には最高気温35℃以上の猛暑日が観測されることも多く、熱中症などのリスクも着実に高まっている状況です。昨年からは過去に例のない広域の危険な暑さを想定した「
熱中症特別警戒アラート」の発表も始まりました。
・
気象庁の最新の季節予報によれば、今夏は日本付近が暖かい空気に覆われやすいため、全国的に平年より気温が高い見通しです。既に6月中旬から太平洋高気圧の張り出しが強まって高温となっており、7月も全国的に顕著な高温傾向が予想されています。さらに、8~9月も全国的に高温傾向が続きそうです。今から熱中症への厳重な警戒が必要です。一方、7月は太平洋高気圧の張り出しが強いため、東・西日本では少雨・多照傾向の見通しですが、沖縄や北日本では大雨に注意が必要です。8~9月は全国的に雨量がやや多くなる可能性があります。昨年に引き続き日本周辺は気温・海面水温ともに高く、梅雨・秋雨前線に向けて暖湿な気流が流れ込みやすいため、豪雨災害にしっかり備えることが必要です。また、夏から秋にかけては日本に接近する台風への備えも欠かせません。
2)熱中症を予防しましょう
・2024年6月-9月の統計では熱中症による死者数が観測史上最多の2033人となり、ついに2000人を超えています。
・体が暑さに慣れるまでに数週間程度かかる(暑熱順化)ため、本格的な夏になる前の梅雨の期間から暑さに備え、熱中症予防に取り組む必要があります。
・室内温度に気をつけましょう。エアコンはためらわずに使いましょう。
・湿度が高いと、汗が蒸発しにくく、体の冷却効果が薄れてしまいます。気温だけではなく、
暑さ指数(WBGT)や湿度も意識した熱中症予防を心掛けましょう。
・こまめな水分摂取を行いましょう。脱水症を防ぐためには、塩分を含む経口補水液の摂取が有効です。
・熱中症の初期症状として頭痛やめまいが起こることがあります。熱中症かな、と思ったら積極的に直射日光を避けた冷所にて休息をとり、水分をとりましょう。
・体温調節機能の低下している高齢者や、高血圧症、糖尿病、脳卒中後遺症などの持病がある人、認知症の人、一人暮らしの人、乳幼児などの「熱中症弱者(要配慮者)」を守る行動をとりましょう。また、持病を持っている方は、かかりつけ医に相談し、体調を整えておくことも重要です。乳幼児は生理的に脱水症になりやすいことや、自ら水分を取りにくいため、特に注意が必要です。絶対に暑い車内や室内に置き去りにしてはなりません。
・危険な暑さが予想されるような場合は不要不急の外出を控えましょう。気象庁と環境省が公表する「
暑さ指数(WBGT)」や「
熱中症警戒アラート」、「
熱中症特別警戒アラート」を報道やインターネットなどでチェックしましょう。
3)豪雨・台風に伴う風水害・土砂災害に備えましょう
・豪雨や台風では、風水害、土砂災害の発生リスクが急に高まります。
・川の上流の山間部で大雨が降ると、今いる場所で雨が降っていなくても、洪水になることもあるので注意が必要です。
・あなたのまちのハザードマップ(
重ねるハザードマップ、わがまちハザードマップ)を参考にして、お住まいの場所などで、河川が氾濫した場合に何mくらいの深さで浸水してしまうのか、土砂災害が起こりやすい場所ではないかなどを自ら確認してください。
・また、局地的大雨、線状降水帯による豪雨では、短時間に地下街、地下室、道路のアンダーパス、下水道、水路、側溝などに、激しい勢いで水が流れ込み、急に危険になることがありますので注意が必要です。
・浸水の恐れのある場所にお住まいの方は、浸水時の被害を抑えるために、玄関からの浸水や排水口からの逆流を抑制するための「水のう」の使い方を覚えておくとともに、室内にある電気器具や大切なものを高い場所に移動するなどの準備をしておきましょう。
・ご家族と安全な避難や連絡の方法について日頃から相談しておきましょう。避難経路の周辺にある水路やマンホールの位置、土砂災害の危険性がある急な斜面など、避難時に支障があるところがないか、事前によく確認しておくことも重要です。
・豪雨や台風の到来は事前にある程度予想でき、雨雲の状況や土砂災害・浸水・洪水の危険度(
キキクル、
川の防災情報)など時々刻々の状況も公開されています。テレビ・ラジオ・
気象庁ホームページなどで、最新の情報の収集に努めてください。
・雨の降り方、雷・突風、浸水など周りの状況に注意を払ってください。市町村から
警戒レベル3の高齢者等避難が発令されたら、避難に時間のかかる高齢者の方などは危険な場所から安全な場所へ避難してください。警戒レベル4の避難指示が出されたら、対象地域の方は全員速やかに危険な場所から避難してください。また、夜間は周辺の状況が確認しづらくなるので、台風の接近や豪雨が予想される場合は、明るいうちに早めの避難も検討しましょう。
・あなたのまわりに、自力で避難することが難しい方がおられたら、避難行動を支援するなど、近所の方々とお互いに助け合うことを日頃から確認しておくこと、地域・地区の防災訓練などへの参加も大切です。
4)複合災害にも備えましょう
・豪雨・台風、猛暑、地震などが重なる複合災害では、それぞれが単独で発生する場合よりも被害が生じやすく、より深刻なものとなるおそれがあります。
・地震があった地域では、雨による土砂災害の危険性が高くなることがあります。
・日本中いたる所で豪雨や台風による災害が発生しています。猛暑も全国各地で発生し、昼夜を問わず、対策が必要になっています。豪雨・台風による災害と猛暑が重なると、熱中症を引き起こすリスクが高まります。避難所などでは体調を崩すリスクが高まるため、注意が必要です。
・広域の同時多発災害や半島・離島などでの災害の場合は、救助や支援の手が届くのが遅れる場合があることを踏まえ、備蓄を含めた備えと対応が必要です。
・自分たちの安全は自分たちで守ること、そのために備えをすることが第一の基本です。豪雨や猛暑などの顕著な天候がいつでも発生しうることを知り、日頃から気象情報に注意を払いましょう。また、家族、地域のコミュニティや自主防災組織などで、互いに助け合うことができるよう、この機会に改めて災害への備えと行動について確認をしましょう。
[一般社団法人防災学術連携体幹事会]
代表幹事:渦岡良介、米田雅子
副代表幹事:池内幸司、目黒公郎
幹事:大友康裕、小荒井衛、小松利光、酒井明子、佐々木幾美、高橋幸弘、立花義裕、田村和夫、飛田哲男、中村尚、永野正行、橋田俊彦、平田直、松島信一、三輪準二、山本佳世子、和田章
協力:横堀將司(日本救急医学会)
[防災学術連携体とは]
防災減災・災害復興に関わる63学協会のネットワークです。
防災に関わる多分野の学協会が、日本学術会議を要として集まり、学協会の連携を進め、緊急事態時に学協会間の緊密な連絡がとれるよう備えています。
[一般社団法人防災学術連携体事務局]
〒113-0023東京都文京区向丘1-5-4ワイヒルズ2階
TEL:03-3830-0188FAX:03-5876-8463
中川寛子office@janet-dr.com、小野口弘美info@janet-dr.com
[参考情報]
気象庁ホームページより
向こう3か月の天候の見通し全国(7月~9月)、予想される海洋と大気の特徴

・地球温暖化の影響等により、全球で大気全体の温度が高いでしょう。
・海面水温は、太平洋赤道域の中部では低い一方、インド洋東部からフィリピンの東方海上にかけて高いでしょう。
・このため、積乱雲の発生は、インド洋東部からフィリピンの東方海上にかけて多く、太平洋中部の熱帯域では少ないでしょう。
・これらの影響により、上空の偏西風は、平年より北寄りの位置を流れ、チベット高気圧は、北への張り出しが平年より強いでしょう。また、太平洋高気圧は、北への張り出しが平年より強いでしょう。
・このため、全国的に暖かい空気に覆われやすいでしょう。また、沖縄・奄美では湿った空気などの影響を受ける時期がある見込みです。
今夏、顕著な高温傾向 気象災害に備え呼びかけ(2025/6/26 しんぶん赤旗)
6日から“10年に1度”の高温、気象庁が9月までの猛暑予報(2025/7/4 サイエンスポータル)