西日本豪雨・市民への緊急メッセージ(防災学術連携体 幹事会)

解説資料印刷用資料プレスリリース

1、地球環境の変化は、自然災害として身近に迫っています

・温暖化の進行にともない、長期的に見れば日本近海も温暖化し、大気中の水蒸気量も増えつつある中、豪雨の発生頻度が高まりその規模も大きくなる傾向にあります。
・実際、近年は深刻な豪雨災害が毎年起きており、日本中どこでも小さな町でも大きな都市でも、地形や河川の特性、土地利用によって、洪水氾濫や浸水、土砂崩れや土石流などの危険性が高まってきています。
・今夏も「平成 30 年 7 月豪雨」による甚大な被害が、西日本を中心に過去に例を見ないほど広域に拡がっています。
・今後、夏後半から秋にかけては、台風や秋雨前線に伴う大雨への備えが必要です。
・西日本などの豪雨被災地では、特にここしばらくは猛暑に厳重に警戒してください。

2、西日本豪雨の降った地域では二次災害に備えて下さい

・西日本周辺では水を含むことで脆弱になりやすい花崗岩類が広く分布しています。豪雨が終了した後でも、しばらくの間は多量の水分が土壌中に残っているため、土砂災害が発生しなかった地域でも、通常降雨で土砂崩れが発生する危険性が極めて高い状態にあります。
・山地内には今回の土砂崩れによって土石流になりやすい多量の土砂が残っており、危険な状態にあります。山地内で渓流をせき止めた状態にある土砂は、雨が降ってなくても土石流になることがあります。
・これらの状態は人目に触れにくい箇所にあることも多く、引き続き警戒が必要です。
・二次災害防止のため、多くの専門家が派遣されていますが、個々人では決して危険な状態にある山地内には立ち入らないで下さい。
・土砂災害が発生した箇所での復旧活動に従事されている住民及びボランティアの方は、少雨の場合でも活動を中止して、早めの避難行動をお願いします。

3、あなたには災害の危険性を知る義務と、自分と家族を守る責任があります

・日本中いたる所で豪雨災害が発生しています。あなたのまちも例外ではありません。
・これまで豪雨があまりなかった地域ほど、経験不足のため豪雨災害が大きくなります。
・自分たちの安全は自分たちで守ることが第一の基本です。広域の同時多発災害の場合は、救助や支援の手が届くのが遅れる場合があります。
・あなたのまちのハザードマップと地域防災計画を参考にして、河川が氾濫した場合には何m浸水してしまうのか、土砂災害が起こりやすい場所ではないかを、自ら確認してください。
・「警報」は危険が身近に迫っていること、「特別警報」はこれ以上ないほどの危険が差し迫っていることを伝えています。
・市町村からの避難情報にも注意してください。特に「避難準備・高齢者等避難開始」が発令されたら、避難に時間を要する人(ご高齢の方、障害のある方、乳幼児等)とその支援者は避難を開始してください。

4、複合災害に目を向けましょう

・日本列島にはさまざまな災害が多発しています。豪雨災害のあとの地震、大地震のあとの豪雨、台風のときに地震が重なるなど、被害が拡大しがちな複合的な災害に備える必要があります。
・最悪の事態を想定しつつ、複合災害が発生したらどう行動すればよいかを日頃から考えておきましょう。

「西日本豪雨・市民への緊急メッセージ」記者発表会

趣旨】防災に関わる56の学会ネットワークである防災学術連携体は、平成30年7月豪雨による西日本を中心とした豪雨災害に関して緊急集会を行い、地球環境の変化は自然災害として身近に迫っており、今後、夏後半から秋にかけては大雨が降りやすいこと、二次災害が危惧されること、複合災害に目を向ける必要があること、市民一人一人が災害の危険性を知る義務があることなど、緊急メッセージを市民に向けて発表することに致しました。報道関係の皆様におかれましては、市民の皆様へのご周知にご協力をお願いいたします。
【日時】平成 30 年 7 月 22 日(日)14:00 から 16:00 頃まで
【場所】日本建築学会 3 階会議室

  メッセージの発表
防災学術連携体代表幹事  米田雅子(日本学術会議会員、防災減災学術連携委員長)
防災学術連携体代表幹事  古谷誠章(日本建築学会会長)
  メッセージの解説
1について:中村  尚(東京大学教授、日本気象学会理事、日本学術会議会員、気象庁異常気象分析検討会会長)
2について:執印 康裕(宇都宮大学教授、砂防学会理事)
3について:小池 俊雄(土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長、国上交通省社会資本整備審議会河川分科会会長、日本学術会議会員)
4について:目黒 公郎(防災学術連携体副代表幹事、地域安全学会会長)
医療報告 :小井土雄一(防災学術連携体副代表幹事、日本災害医学会代表理事)

【質疑応答】

ニュース映像
【発表会の運営担当】防災学術連携体
運営幹事:和田章(日本学術会議連携会員、東京工業大学名誉教授)/依田照彦(日本学術会議連携会員、早稲田大学名誉教授)
事務局長・幹事:田村和夫(日本学術会議連携会員)/小野寺篤(日本建築学会事務局長代理)