6月28日以降、華中から日本海を通って北日本に停滞していた前線は7月4日にかけ北海道付近に北上した後、7月5日には西日本まで南下してその後停滞した。また、6月29日に日本の南で発生した台風第7号は東シナ海を北上し、対馬海峡付近で進路を北東に変えた後、7月4日15時に日本海で温帯低気圧に変わった。
6月28日から7月8日までの総降水量が四国地方で1800ミリ、東海地方で1200ミリを超えるところがあるなど、7月の月降水量平年値の2~4倍となる大雨となったところがあった。また、九州北部、四国、中国、近畿、東海、北海道地方の多くの観測地点で24、48、72時間降水量の値が観測史上第1位となるなど、広い範囲における長時間の記録的な大雨となった。この大雨について、岐阜県、京都府、兵庫県、岡山県、鳥取県、広島県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県の1府10県に特別警報を発表し、最大限の警戒を呼びかけた。
風については、台風第7号の通過に伴い、沖縄から西日本で7月1日から5日にかけて最大風速20メートルを超える非常に強い風を観測した。また、沖縄・奄美から九州地方にかけて海は大しけとなった。
これらの影響で、河川の氾濫、浸水害、土砂災害等が発生し、死者、行方不明者が多数となる甚大な災害となった。また、全国各地で断水や電話の不通等ライフラインに被害が発生したほか、鉄道の運休等の交通障害が発生した。
気象状況(気象庁情報:7 月 8 日 4:00 現在)
気象の概況と見通し
・東日本から西日本に停滞している前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定となり、前線の活動が活発になっている。8日4時までの 24 時間に岐阜県郡上市で323.0ミリ、高知県須崎市で308.5ミリ、鹿児島県鹿屋市で201.0ミリの雨量を観測し、多くの観測点で7月の1位の値を更新するなど、東日本から西日本の広い範囲で記録的な大雨となっている。
・岐阜県に大雨特別警報を発表しており、重大な災害が既に発生、又は、発生のおそれが著しく高まっている。最大級の警戒が必要。さらに、特別警報を解除した地域、あるいは、特別警報を発表していない地域でも、厳重な警戒が必要。
・西日本では前線が停滞し、今日8日は活動が活発な状況が続くが、明日9日は次第に活動が弱まる見込み。東日本から北日本では、前線上の低気圧が今日8日は北東に進み、前線は北上する見込み。
・西日本から東日本では、今日8日は断続的に1時間に40ミリ以上の雷を伴った激しい雨が降り、局地的に1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降る見込み。東海地方では、80ミリ以上の猛烈な雨の降るおそれがある。西日本と東日本ではすでにかなりの大雨となっているため、引き続き厳重な警戒が必要。
・明日9日06時までの24時間に予想される雨量は、いずれも多い所で、東海地方・四国地方200ミリ、九州北部地方・九州南部地方150ミリ。
・各地気象台の発表する警報・注意報、気象情報等に留意するとともに、市町村の避難勧告等に注意。東日本から西日本および沖縄地方では土砂災害、河川の増水や氾濫に厳重に警戒。低い土地の浸水に警戒。落雷や竜巻などの激しい突風に注意。