市民へのメッセージ「2022年夏秋の気象災害に備えましょう」(防災学術連携体 幹事会)(2022/7/15)
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プレスリリース
1.地球環境の変化により顕著な天候が現れやすくなっています
・地球温暖化の進行にともない、近年世界各地で異常気象が起こりやすくなっています。我が国でもジェット気流(上空の強い偏西風)の顕著な蛇行によって太平洋高気圧が異常に強まり、東日本・西日本全域で6月下旬に梅雨明けが発表されるという異例の事態となりました。ジェット気流の蛇行自体は自然の変動ですが、長期的な温暖化の影響も加わったため各地で記録的な猛暑に見舞われ、熱中症患者が急増し、首都圏を中心に
電力需給が逼迫する事態も招きました。同時に、梅雨前線が異常に北上したため、梅雨のない北海道で記録的な大雨となった一方、梅雨の期間が異常に短かった西日本では
渇水が深刻化しています。
・同様なジェット気流の蛇行は2018年にも起こり、関東甲信地方には6月末の記録的に早い梅雨明け、北海道には豪雨をもたらしました。その後、7月上旬に太平洋高気圧が一時的に弱まって「平成30年7月豪雨(所謂、西日本豪雨)」が発生しましたが、その直後から高気圧が再び強まって記録的な猛暑となりました。
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気象庁の季節予報によれば今後も高温傾向が現れやすいようです。熱中症への備えを万全にしましょう。また、太平洋高気圧が一時的に弱まって、日本列島に熱帯からの暖かく湿った気流が流れ込むと、2018年,2020年,2021年のような広域豪雨に見舞われる可能性もあります。長期的な温暖化傾向で高温や雨量がさらに顕著になる可能性も否定できません。さらに、夏から秋にかけて台風の接近・上陸への備えも欠かせません。
2.熱中症を予防しましょう
・今年は記録的に早い梅雨明けとともに急激に猛暑が襲ってきました。体が暑さになれるまでに数週間程度かかる(暑熱順化)ため、今年の猛暑は危険です。「災害級」の暑さに備える必要があります。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再流行が始まっています。熱中症予防に取り組みつつ、感染症予防を引き続き行いましょう。
・換気と室内温度に気をつけましょう。エアコンは節電中でもためらわずに使いましょう。家庭用エアコンには換気機能がないものが多いため、適宜窓を開けて換気をしましょう。換気をするときは室温が上昇しすぎないよう、こまめにエアコンの温度を調整しましょう。
・マスク着用は熱中症のリスクとなる可能性があります。屋外で人との距離が十分に確保できる場合はマスクを外すなど、メリハリをつけましょう。こまめな水分摂取を行いましょう。脱水症を防ぐためには塩分を含む経口補水液の摂取が有効です。
・熱中症弱者に配慮しましょう。体温調節機能の低下している高齢者や、高血圧症、糖尿病、脳卒中後遺症などの持病がある人、認知症の人、一人暮らしの人、経済的な理由でエアコンを設置していない人など、「熱中症弱者」の人たちと頻繁に連絡を取り合いましょう。社会的孤立を防ぐことが熱中症予防に貢献します。
・不要不急の外出を控えましょう。気象庁と環境省が公表する「
暑さ指数(WBGT)」や「
熱中症警戒アラート」を新聞やテレビ、インターネットなどでチェックして、危険な暑さの日は不要不急の外出を控えましょう。
3.豪雨・台風に備えましょう
・前線や低気圧の影響と地形などによって、積乱雲が同じ場所で次々と発生し、激しい雨が数時間にわたって降り続くことがあります。毎年、豪雨によって河川の氾濫や土砂災害が発生しています。
・最近は、狭い範囲に強い雨が降る「局地的大雨」も増えています。地下街、地下室、道路のアンダーパス、下水道管、排水溝、用水路などに、急激に水が流れ込み、危険になることがあります。
・土砂災害には次のような前兆が現れることがあります。前兆に気づいたら、すぐに自治体や周りの人に連絡し、速やかに避難しましょう。①がけ崩れの前には、がけにひび割れができる、小石がバラバラと落ちてくる、がけから水が湧き出ること等があります。②土石流の前には、山鳴りがする、急に川の水が濁る、腐った土の匂いがすること等があります。③地滑りの前には、地面のひび割れや陥没、がけや斜面から水が噴き出る、井戸や沢の水が濁ること等があります。
・豪雨や台風の到来は事前にある程度予想できます。テレビ・ラジオ・
気象庁のホームページなどで、最新の情報の収集に努めて下さい。市町村から警戒レベル3の高齢者等避難や警戒レベル4の避難指示が出されたら、速やかに
避難場所に移動して下さい。
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あなたのまちのハザードマップを参考にして、河川が氾濫した場合には何mくらい浸水してしまうのか、土砂災害が起こりやすい場所ではないかを自ら確認して下さい。
4.あなたには災害の危険性を知り、自分と家族を守る責任があります。
・日本中いたる所で豪雨や台風による災害が発生しています。あなたのまちも例外ではありません。
・これまで災害があまりなかった地域ほど、豪雨や台風によって被害が大きくなることがあります。
・自分たちの安全は自分たちで守ることが第一の基本です。広域の同時多発災害の場合は、救助や支援の手が届くのが遅れる場合があります。
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あなたのまちのハザードマップに目を通し、危険箇所や、避難場所を確認し、家族と安全な避難や連絡の方法について相談しておきましょう。あなたのまわりに、自力で避難することが難しい方がおられたら避難行動を支援するなど、近所の方々とお互いに助け合うことも大切です。