市民へのメッセージ「2023年夏秋の気象災害に備えましょう」(防災学術連携体 幹事会)(2023/06/12)
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プレスリリース
https://youtu.be/GkMB6JaX0hw
1 地球環境の変化により、猛暑・豪雨などの異常気象が増えています
・地球温暖化の進行に伴い、日本をはじめ世界各地で異常気象が起こりやすくなっています。日本では豪雨・猛暑・台風などにより、人々の生命や社会インフラの安全が脅かされています。
・今年も6月1日から3日にかけて四国・近畿・東海・関東の広い範囲で、24時間降水量が23の地点で観測史上1位を記録するなど、梅雨前線と台風第2号の影響による豪雨に見舞われました。これらの地域では深刻な浸水害や土砂災害が発生しています。
・気象庁の今夏の天候の見通しによれば、6月は北・東日本、7・8月は東・西日本と沖縄・奄美で高温傾向となりやすいようです。熱中症への備えが必要です。また、日本列島に南からの暖かく湿った空気が流れ込み、低気圧や前線の影響を受けやすい状況にあります。先日豪雨に見舞われたばかりですが、例年梅雨後半は大雨が降りやすい時期です。豪雨災害へもしっかり備えましょう。さらに、夏から秋にかけて台風への備えも欠かせません。
2 熱中症を予防しましょう
解説資料(横堀將司)
・体が暑さに慣れるまでに数週間程度かかる(暑熱順化)ため、本格的な夏になる前の梅雨の期間から暑さに備え、熱中症予防に取り組む必要があります。
・室内温度に気をつけましょう。エアコンは節電中でもためらわずに使いましょう。
・こまめな水分摂取を行いましょう。脱水症を防ぐためには、塩分を含む経口補水液の摂取が有効です。
・熱中症の初期症状に頭痛やめまいが起こることがあります。熱中症かな、と思ったら積極的に直射日光を避けた冷所にて休息をとり、水分をとりましょう。
・体温調節機能の低下している高齢者や、高血圧症、糖尿病、脳卒中後遺症などの持病がある人、認知症の人、一人暮らしの人、乳幼児などの「熱中症弱者」を守る行動をとりましょう。また持病を持っている方は、かかりつけ医に相談し、体調を整えておくことも重要です。乳幼児は生理的に脱水症になりやすいことや、自ら水分を取りにくいため、特に注意が必要です。絶対に暑い車内や室内に置き去りにしてはなりません。
・危険な暑さが予想されるような場合は不要不急の外出を控えましょう。気象庁と環境省が公表する「
暑さ指数(WBGT)」や「
熱中症警戒アラート」を報道やインターネットなどでチェックしましょう。
3 豪雨・台風に備えましょう
解説資料(田村和夫)
・大量の水蒸気の流れ込み、前線や低気圧の影響と地形などによって、積乱雲が同じ場所で次々と発生し線状に伸びた地域で激しい雨が数時間にわたり降り続く「線状降水帯」が発生することがあります。最近は、狭い範囲に強い雨が降る「局地的大雨」も増えています。さらに数日にわたって大雨が続くこともあります。毎年、浸水、河川の氾濫や土砂災害が全国各地で発生しています。台風による暴風や高潮の被害も発生しています。
・
あなたのまちのハザードマップを参考にして、お住まいの場所などで、河川が氾濫した場合に何mくらい浸水してしまうのか、土砂災害が起こりやすい場所ではないかなどを自ら確認してください。また、局地的大雨、線状降水帯による豪雨では、短時間に地下街、地下室、道路のアンダーパス、下水道管、排水溝、用水路などに、激しい勢いで水が流れ込み、危険になることがありますので注意が必要です。
・浸水の恐れのある場所にお住まいの方は、浸水時の被害を抑えるために、室内にある電気器具や大切なものを高い場所に移動するなどの準備をしておきましょう。
・豪雨や台風の到来は事前にある程度予想でき、雨雲の状況や土砂災害・浸水・洪水の危険度(
キキクル)など時々刻々の状況も公開されています。テレビ・ラジオ・気象庁のホームページなどで、最新の情報の収集に努めてください。市町村から警戒レベル3の高齢者等避難や警戒レベル4の避難指示が出されたら、速やかに避難場所に移動するなど、身の安全を確保してください。
4 あなたには災害の危険性を知り、自分と家族を守る責任があります。
解説資料(田村和夫)
・日本中いたる所で豪雨や台風による災害が発生しています。あなたのまちも例外ではありません。
・これまで災害があまりなかった地域ほど、豪雨や台風によって被害が大きくなることがあります。また、地震があった地域では、雨による土砂災害の危険性が高くなることもあります。
・自分たちの安全は自分たちで守ることが第一の基本です。広域の同時多発災害の場合は、救助や支援の手が届くのが遅れる場合があります。
・家族と安全な避難や連絡の方法について日頃から相談しておきましょう。避難経路の周辺にある水路やマンホールの位置など、避難時に支障が生じるところがないか、事前によく確認しておくことも重要です。
・あなたのまわりに、自力で避難することが難しい方がおられたら避難行動を支援するなど、近所の方々とお互いに助け合うことも大切です。
5.災害に強い地域づくりについて考えましょう
・地球温暖化の進行とともに、豪雨や猛暑などの顕著な天候がいつでも発生しうることを知ってください。気象災害の発生しやすい夏秋の時期を迎えるにあたり、日頃から気象情報に注意を払い、防災情報を事前に把握して、迫り来る危険に備えましょう。地域のコミュニティや自主防災組織などで、互いに助け合うことを改めて確認しましょう。さらに、長期的視点から、災害に強い地域づくりの大切さについて考える機会を持ちましょう。
[一般社団法人 防災学術連携体 幹事会]
代表幹事:森本章倫、米田雅子
副代表幹事:渦岡良介、目黒公郎
幹事:大友康裕、小松利光、酒井明子、高橋幸弘、田村和夫、塚田幸広、中村 尚、永野正行、橋田俊彦、平田 直、松島信一、松野文俊、山本佳世子、吉田俊子、和田 章
[防災学術連携体とは]
防災減災・災害復興に関わる62学協会のネットワークです。
防災に関わる多分野の学会が、日本学術会議を要として集まり、学会の連携を進め、緊急事態時に学会間の緊密な連絡がとれるよう備えています。
[一般社団法人 防災学術連携体 事務局]
〒113-0023 東京都文京区向丘1-5-4 ワイヒルズ2階
TEL:03-3830-0188 FAX:03-5876-8463
中川寛子 office@janet-dr.com 、小野口弘美 info@janet-dr.com
[参考情報]
気象庁 ホームページより
向こう3か月の天候の見通し 全国 (06月~08月)、予想される海洋と大気の特徴
・地球温暖化の影響などにより、全球で大気全体の温度が高いでしょう。
・エルニーニョ現象が発生する可能性が高く、上空の偏西風は日本付近で平年よりやや南を流れる時期もありますが、ほぼ平年の位置を流れやすいでしょう。
・一方、冬に終息したラニーニャ現象の影響が残るため、海面水温はインド洋熱帯域で低く、積乱雲の発生はフィリピン付近から西太平洋の赤道域にかけて多いでしょう。このため、チベット高気圧は東側で強く、東・西日本と沖縄・奄美では暖かい空気に覆われやすい見込みです。
・また、日本の南で太平洋高気圧の西への張り出しがやや弱く、南から暖かく湿った空気が流れ込みやすいため、北・東・西日本では低気圧や前線の影響をやや受けやすい時期がある見込みです。
【記事】
例年より暑い夏 今の時期から熱中症予防を (産経新聞/2023.06.12)
熱中症に今から備えを 梅雨の豪雨や台風にも注意 学術団体が「市民へのメッセージ」発表 (東京新聞/2023.06.12)
今夏~秋、熱中症や豪雨に注意を 防災62学会がメッセージ (毎日新聞/2023.06.12)
先月 熱中症で搬送 全国で3600人余 5月としては2番目の多さ (NHK NWES WEB/2023.06.14)