市民へのメッセージ2026「危険さを増す地球温暖化、夏秋の気象災害に備えましょう」

日時:2026年6月29日(月)13:00~14:45
開催:Zoom Webinar(500名) オンライン開催、無料
市民へのメッセージ2026全文PDF

【開催趣旨】
防災学術連携体幹事会は、地球温暖化の進展、地球環境の変化により顕著な天候が現れやすくなっているため、今後、夏から秋にかけての気象災害への備えを呼びかけるために、市民向けメッセージを記者発表し、5名の専門家が今年の状況を解説します。 皆様もご視聴頂けます。どうぞ視聴申込ください。
【説明者】
防災学術連携体 5発表(各15分)、全体質疑応答30分
(司会)米田雅子 宇都宮大学理事、防災学術連携体代表幹事
肱岡靖明 国立環境研究所 気候変動適応センター長(水文・水資源学会)
中村 尚 東京大学名誉教授、防災学術連携体学識会員・幹事 (日本気象学会)
横堀将司 日本医科大学教授、高度救命救急センター長(日本救急医学会)
池内幸司 河川情報センター理事長,防災学術連携体副代表幹事(土木学会)
橋田俊彦 横浜国立大学客員教授、防災学術連携体学識会員・幹事

YouTube:https://youtu.be/mutIrSQo0k4 ★概要欄にタイムスタンプあり

    

1)危険さを増す地球温暖化の要因・実態と影響を知り、対策を進めよう

・日本や世界の平均気温は上昇し、地球温暖化が進行しています。これに伴い、猛暑や豪雨などの異常気象の頻発、海水温の上昇や海洋の酸性化などが進み、その影響は、私たちの生命、生活、農業をはじめとする様々な産業、自然生態系などの多方面で深刻なリスクをもたらしています。
・地球温暖化の主な要因は、化石燃料の燃焼や森林伐採などの人間活動によって排出される二酸化炭素などの温室効果ガスの増加です。
・地球温暖化の対策としては、その原因となる温室効果ガスを減らす「緩和」と、その影響による被害を回避もしくは軽減し、最小限に抑えるための備え・対応をする「適応」を両輪として取り組む必要があります。
・「緩和」策として、世界と連携し、脱炭素社会の達成のために社会や経済活動を根本から見直し、エネルギー供給の再生可能エネルギーへの転換や、省エネルギーの徹底を目指す産業構造やライフスタイルの抜本的な変革に取り組まなくてはなりません。この緩和の取組は、異常気象の増加を抑えることなどを通じて、災害による被害の軽減にもつながります。 ・地球温暖化の影響は危険さを増しており、もはや避けられない気温や海水温の上昇をはじめとする地球環境の変化による被害に対応する「適応」策として、異常気象の頻発に備えた災害対策、熱中症対策、農作物の品種改良をはじめ、様々な産業における高温対策などを進め、地球温暖化による被害への対応力や備えを向上させていく必要があります。
・この夏秋の猛暑や豪雨・台風シーズンでは、特に、熱中症、風水害などの気象関連の災害に万全を期していきましょう。

2) 地球温暖化の進行により、豪雨・猛暑などの異常気象が増えています

・ 地球温暖化の進行に伴い、日本をはじめ世界各地で異常気象が起こりやすくなっています。日本では豪雨・台風などにより、さらに猛暑によっても、人々の生命や社会経済活動に深刻な影響が及んでいます。また、近年は日本近海の「海洋熱波」が記録的猛暑や豪雨、台風に与える影響も指摘されており、日本周辺の海面水温の状況にも注意が必要です。
・ 積乱雲によって狭い範囲に短時間で強い雨が降る「局地的大雨」、積乱雲が同じ場所で次々と発生し激しい雨が数時間にわたり降り続く「線状降水帯」、さらには前線の停滞などの影響で数日にわたって続く「広域豪雨」など、大雨の発生頻度や雨量は増加傾向にあり、気象災害リスクが高まっています。 台風が襲来すると、これらの大雨に関する各現象が一連として発生することもあり、加えて暴風や竜巻等の突風、高潮などへの警戒も必要となります。
・ 本年も含め、近年は春から初夏にかけての早い時期から最高気温が30℃以上の真夏日が現れています。また、盛夏期には最高気温35℃以上の猛暑日が急増する中、昨夏は猛暑日と最高気温40℃以上の日(本年から「酷暑日」という)の観測数が共に歴代1位となるなど、熱中症などのリスクも近年着実に高まっている状況です。
・ 気象庁の最新の季節予報によれば、地球温暖化の影響に加え、今夏7月以降は太平洋高気圧の張り出しが強まって、日本付近が暖かい空気に覆われやすいため、盛夏期は東日本や西日本、沖縄・奄美では平年より気温が高い見通しです。今から熱中症への厳重な警戒が必要です。一方、降水量は全国的にほぼ平年並みの見通しですが、7月前半は梅雨前線に伴う大雨への警戒が必要です。昨年に引き続き日本周辺は気温・海面水温ともに高く、梅雨・秋雨前線に向けて暖湿な気流が流れ込みやすいため、豪雨災害にしっかり備えることが必要です。また、夏から秋にかけては日本に接近する台風への備えも欠かせません。

3) 熱中症を予防しましょう

・2024年6月-9月の統計では熱中症による死者数が観測史上最多の2033人となり、ついに2000人を超えました。2025年も依然死者数は高水準にあり、本年も注意が必要です。
・ 体が暑さに慣れるまでに数週間程度かかる(暑熱順化)ため、本格的な夏になる前の梅雨の期間から暑さに備え、熱中症予防に取り組む必要があります。
・ 室内温度に気をつけましょう。エアコンはためらわずに使いましょう。
・ 湿度が高いと、汗が蒸発しにくく、体の冷却機能が低下します。気温だけではなく、暑さ指数(WBGT)や湿度も意識した熱中症予防を心掛けましょう。
・ こまめな水分摂取を行いましょう。脱水症を防ぐためには、塩分を含む経口補水液の摂取が有効です。
・ 熱中症の初期症状として頭痛やめまいが起こることがあります。熱中症かな、と思ったら積極的に直射日光を避けた冷所にて休息をとり、水分をとりましょう。
・ 体温調節機能の低下している高齢者や、高血圧症、糖尿病、脳卒中後遺症などの持病がある人、認知症の人、一人暮らしの人、乳幼児などの「熱中症弱者(要配慮者)」を守る行動をとりましょう。また、持病を持っている方は、かかりつけ医に相談し、体調を整えておくことも重要です。乳幼児は生理的に脱水症になりやすいことや、自ら水分を取りにくいため、特に注意が必要です。絶対に暑い車内や室内に置き去りにしてはなりません。
・ 危険な暑さが予想されるような場合は不要不急の外出を控えましょう。気象庁と環境省が公表する「暑さ指数(WBGT)」や「熱中症警戒アラート」、「熱中症特別警戒アラート」を報道やインターネットなどでチェックしましょう。

4) 豪雨・台風に伴う風水害・土砂災害に備えましょう

・ 豪雨や台風では、風水害・土砂災害の発生リスクが急に高まります。
・ 川の上流部で大雨が降ると、今いる場所で雨が降っていなくても、上流から大量の水が流れ込み、急激に水位が上昇して洪水が発生することもあるので注意が必要です。
・ ハザードマップ(重ねるハザードマップ、わがまちハザードマップ)を参考にして、お住まいの場所などで、河川が氾濫した場合にどの程度の深さまで浸水するおそれがあるのか、土砂災害警戒区域等に指定されていないかなどを必ず確認してください。
・ また、局地的大雨や線状降水帯による豪雨では、短時間に地下街、地下室、道路のアンダーパス、下水道、水路、側溝などに、大量の水が急速に流れ込み、命に関わる危険な状況となることがありますので、十分注意してください。
・ 浸水のおそれのある場所にお住まいの方は、浸水時の被害を抑えるために、玄関からの浸水や排水口からの汚水などの逆流を抑制するための「水のう」や土のうの使い方をあらかじめ確認しておくとともに、室内にある電気器具や貴重品等を高い場所に移動するなどの準備をしておきましょう。
・ ご家族と避難方法や連絡方法について日頃から相談しておきましょう。避難経路の周辺にある水路やマンホールの位置、土砂災害の危険性がある急傾斜地など、避難時に支障があるところがないか、事前に確認しておくことも重要です。
・ 雨雲の状況や土砂災害・浸水・洪水の危険度に関する情報が「キキクル」や「川の防災情報」などで提供されています。また、気象業務法等の改正を受けて、本年5月29日から警戒レベルに対応した新たな防災気象情報が提供されています。市町村からの避難情報とあわせて、これらの防災気象情報も参考にして、早めの避難行動を心がけてください。テレビ・ラジオ・気象庁国土交通省・自治体のホームページやアプリなどで、最新の情報を確認してください。
・ 雨の降り方、雷・突風、浸水など周囲の状況に注意を払ってください。警戒レベル3(高齢者等避難)が発令されたら、避難に時間のかかる高齢者等は危険な場所から安全な場所へ避難してください。警戒レベル4(避難指示)が出されたら、危険な場所にいる方は全員、速やかに安全な場所に避難してください。警戒レベル5(緊急安全確保)は、既に災害が発生・切迫しており命の危険がある状況を示す情報です。警戒レベル5を待つのではなく、危険な場所にいる方は、警戒レベル4までに必ず避難を完了することが重要です。自宅や近くの建物で少しでも浸水しにくい高い場所への移動や、少しでも崖や沢から離れた建物や自宅内の部屋への移動など、直ちに身の安全を確保してください。また、夜間の避難は周囲の状況が確認しにくく、危険を伴うため、台風の接近や大雨が予想される場合は、明るいうちに早めの避難も検討しましょう。
・ あなたのまわりに、自力で避難することが難しい方がいる場合は、地域の方々と日頃から避難支援の方法を確認しておきましょう。また、防災訓練などに参加し、災害に備えることも大切です。

5) 複合災害や広域の災害にも備えましょう

・ 地球温暖化の進行に伴い、異常気象の頻度が増すことで、豪雨・台風や猛暑と、地震、津波などが短時間に相次ぎ発生して複合災害となるおそれも増しています。複合災害では、それぞれが単独で発生する場合よりも被害が拡大しやすく、より深刻なものとなるおそれがあります。
・ 地震があった地域は地盤が緩み、雨による土砂災害の危険性が高くなることがあります。猛暑に対して昼夜を問わず対策が必要な状況では、豪雨・台風による災害や地震・津波による災害が重なると、熱中症を引き起こすリスクが高まります。避難所などでは体調を崩すリスクが高まるため、注意が必要です。
・ 前線の停滞、台風の経路、高気圧の張り出し状況などによっては、広域または長期にわたり影響が生じることもあります。気象関連災害でも広域で同時多発災害や半島・離島などでの災害が起こりえます。そのような場合は、救助や支援の手が届くのが遅れたり、電気・水道・ガス・道路への被害や地域の産業・経済活動への波及とともに生活や健康への影響が長引いたりすることがあることを踏まえ、備蓄を含めた備えと対応が必要です。
・ 自分たちの安全は自分たちで守ること、そのために備えをすることが第一の基本です。豪雨や猛暑などの顕著な天候については、事前にその発生の可能性について知ることができます。日頃から気象情報に注意を払いましょう。また、家族、地域のコミュニティや自主防災組織などで、互いに助け合うことができるよう、この機会に改めて夏秋の気象関連災害や地震津波災害への備えと行動について確認をしましょう。


[一般社団法人 防災学術連携体 幹事会]
代表幹事: 渦岡良介、米田雅子
副代表幹事: 池内幸司、目黒公郎
幹事: 大友康裕、小荒井衛、小松利光、酒井明子、佐々木幾美、高橋幸弘、立花義裕、田村和夫、飛田哲男、中村 尚、永野正行、橋田俊彦、平田 直、松島信一、三輪準二、山本佳世子、和田 章
協力: 肱岡靖明(水文・水資源学会)、横堀將司(日本救急医学会)
[防災学術連携体とは]
防災減災・災害復興に関わる63学協会のネットワークです。
防災に関わる多分野の学協会が、日本学術会議を要として集まり、学協会の連携を進め、緊急事態時に学協会間の緊密な連絡がとれるよう備えています。

[一般社団法人 防災学術連携体 事務局]
〒113-0023 東京都文京区向丘1-5-4 ワイヒルズ2階
TEL:03-3830-0188 FAX:03-5876-8463 中川寛子 office@janet-dr.com 、小野口弘美 info@janet-dr.com

[参考情報]

気象庁 ホームページより
向こう3か月の天候の見通し全国(7月~9月)、予想される海洋と大気の特徴


・ 地球温暖化やエルニーニョ現象の影響で、熱帯域を中心に大気全体の温度が高いでしょう。
・ エルニーニョ現象が続く見込みで、海面水温は太平洋赤道域の東部から中部で高く、積乱雲の発生はこれらの海域で多いでしょう。また、期間の前半はモンスーンの西風が強く、積乱雲の発生はフィリピンの東から太平洋中部でも多いでしょう。
・ 一方、インド洋からインドネシア付近にかけては積乱雲の発生が少ないでしょう。
・ これらの影響により、上空の偏西風はユーラシア大陸では平年より南を流れるでしょう。一方、日本付近から日本の東海上では期間の前半は平年よりやや北を、期間の後半は平年よりやや南を流れやすい見込みです。チベット高気圧は北への張り出しは弱いものの、日本付近への張り出しは平年程度でしょう。太平洋高気圧は期間の前半は北への張り出しがやや強く、日本の南への張り出しは弱いでしょう。
・ これらのことから、日本付近は期間の前半を中心に暖かい空気に覆われやすいでしょう。